■劇場情報

都市
劇場名
公開日
東京
ユーロスペース 2011年11月19日(土)〜12月2日(金)上映終了
名古屋
シアターカフェ 2012年4月21日(土)〜4月27日(金) ※23,24日上映なし
大阪
第七芸術劇場 2012年5月12日(土)~5月18日(金) 20:30- (1日1回上映)

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■NO NAME FILMS とは?

けれど、「有名」になることが目的ではない(だろう)。 萩野 亮(映画批評)

 NO NAME FILMS、無名の映画たち。東京国際映画祭の運営で知られる公益財団法人ユニジャパンの「人材育成プロジェクト」によって集められた、 10のショートフィルム。目にも多彩な作品を手がける10人の作家たちは、かといってまったく未知の存在であるわけではない。近作『くらげくん』(2010)が 11の映画祭で受賞し、すでに特集上映も組まれている『ぬくぬくの木』の片岡翔、関西インディーズ界で頭角を現し、長編第一作『-×-』(2010)が ローマ映画祭に出品された『トビラを開くのは誰?』の伊月肇、大学在学中から数々の学生映画祭で受賞し、今回上映される『ふたつのウーテル』が カンヌ国際映画祭短編コンペティション部門にノミネートされた田崎恵美など、10人の作家たちはいずれも多数の受賞暦をもち、自主映画の世界では 「有名」な作家たちばかりだ。けれどもそれは、あくまでインディペンデントのなかだけの話。

 こちらが想像する限り、おそらくそれまで彼らが制作してきたどの作品よりも恵まれた予算環境のなかで生まれたこれらのフィルムは、メジャーとの距離を測ろうとするその最初の一石として、 けれども気負うことなく軽やかに投じられている。俳優陣には、麿赤兒(ぬくぬくの木)をはじめ、柄本佑(ニューキッズオンザゲリラ)、前田亜季(閑古鳥が泣いてたら)、 利重剛(わたしたちがうたうとき)、鈴木卓爾(ぬくぬくの木・わたしたちがうたうとき)など、メジャー作品でも活躍する役者たちが顔をのぞかせ、 一見しただけではインディペンデントともメジャーともいえないふしぎさが、フレームいっぱいに主張している。こうした俳優と作家との出会いは、とてもわくわくする。

 さしあたり日本映画だけに話を限ってみても、2000年代を経た現在において、なおメジャーとインディペンデントの格差は拡大の一途をたどっているかに見える。 「有名」な俳優、「有名」な原作を起用し、製作委員会方式を採ることでリスクを分散させ(それは同時に先鋭な表現をゆるさない)、 莫大な宣伝費を投入するメジャー映画は、すなわち「有名」な映画となる。いっぽうインディペンデント映画は、たとえばまともな賃金も支払 われない労働環境で、比較にならない低予算で「映画」を追及しては国内外の映画祭を目指し、ミニシアターで小規模上映を行なう「無名」の映画となる。 作品のおもしろさなど1グラムも関係なく、映画の「有名」と「無名」は、つねにすでにして振り分けられるほかない。わたしはメジャーをあげつらってインディペンデントに与しようしているのではない。 いや、ほんとうをいうと、見るべきものは圧倒的に後者にあると思ってはいるけれど、この構造をこわして互いが歩み寄らない限り、日本映画はくたびれてゆくほかないのではないか。

 かくいうわたしは「無名」の批評書きだ。NO NAME CRITIC。無名につき、残念ながらこれらの映画に「お墨付き」を与えることができない。 では、何ができるのか。稚拙にも状況論的なことにもふれたけれど、わたしにできるのは、おそらくこれらのフィルムと併走することだけだろう。「有名」と「無名」がほとんど無条件に振り分けられてしまうなかで、 「NO NAME FILMS」はそのあいだから生まれようとしている。これらのフィルムがすぐに「有名」になることはないかもしれない。いや、「有名」になることが目的なのでもないだろう。 だからこそ、彼らの映画をこれからも見つづけること、次なる足取りを追うこと。そうして作り手と受け手とがゆるやかに連帯して輪を広げてゆけるなら、 いつしか「有名・無名」の尺度を越えて、ただひたすら「おもしろい映画」のほうへ、たどり着けるのではないか。まずはこの10本の「無名宣言」を、しっかりと受け取ることからはじめよう。ドカーン!!

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■作品&監督紹介

日曜大工のすすめ A
■監督|脚本|編集|吉野耕平 ■プロデューサー|安永豊 ■出演|池口十兵衛|小林麻子
現実の延長線にあるリアルな「狂気」。幻想を交えて描く、予測不能な現代の寓話。
週末ごとに「日曜大工」に励む男。淡々とこなす大工仕事で、日々のストレスを洗い流していく。そんな
ある日、「日曜大工をはじめたい」と、女が現れる。男は嬉々としてその技術と精神を教えるが、女の本当の
目的は別にあった・・・。木と、鉄と、人の手と、人の心から生まれる物語を、現実と幻想を織り交ぜて描く。
監督|吉野耕平
2000年より映像制作を開始。CG・アニメーション・実写映画等をジャンルを問わず制作。広告代理店を経てディレクターへ。広告・アニメーションから
VJまで、活動の場を広げている。主な受賞歴、ぴあフィルムフェスティバル(00年、02年、04年)。文化庁メディア芸術祭(10年)審査員推薦作品、他。
「日曜大工のすすめ」が本年度釜山国際映画祭コンペティション部門に選出。
遠くはなれて A
■監督|脚本|廣原暁 ■プロデューサー|根本佳美 ■出演|藤川史人|泉光典|真砂豪|池田将
静かな「葛藤」と「選択」。心の奥底に、波風が立つ。
無気力で行き当たりばったりの生活を続ける藤川。ある日、同僚と口論になり、車から叩き出された
藤川は全く知らない街に置き去りにされる。そこで一匹のヤギと出会うのだが、
そのヤギは研究機関のヤギで・・・。観る者の想像力を逆に利用した、確かな演出力にも注目。
監督|廣原 暁
1986年、東京都出身。2009年、武蔵野美術大学映像学科卒業。同年、東京藝術大学大学院映像研究科映画専攻監督領域入学。
主な監督作品に「世界グッドモーニング!!」(09)(第12回京都国際学生映画祭、準グランプリ・観客賞、
第32回PFF審査員特別賞、第29回バンクーバー国際映画祭Dragons & Tigers Award for Young Cinema受賞)
トビラを開くのは誰? A
■監督|脚本|編集|伊月肇 ■プロデューサー|柴田啓佑 ■出演|鈴木知憲|優恵|玉置稔|杉本神伊|橋野純平
少年のゆれる心情と、幻想的な世界が、鮮やかにシンクロしてゆく。
母と病院へ向かうバスに乗る10歳の少年「光」。退屈しのぎに風船で遊ぶ光は、車内で不思議な
体験をする。そんな光が病院に到着して見たものは?「この世」と「あの世」の狭間に生じる
関係性の歪みを、物語の魅力に変換していく巧みな演出が秀逸。
監督|伊月肇
1980年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒業。大学在学中に山下敦弘監督作品『ばかのハコ船』にスタッフとして参加。
映像制作会社退社後、自主映画制作を行う。
2010年、初長編作品『-×-』(マイナス・カケル・マイナス)がローマ国際映画祭に正式招待される。
ニューキッズオンザゲリラ A
■監督|脚本|阿部綾織 ■監督|撮影|高橋那月 ■プロデューサー|渡辺直樹 ■出演|柄本 佑|齋藤浩太|田村律子|持田加奈子
それは愛なのか?・・・たぶん、きっと、愛でいい。
昼間はタクシードライバー、夜は娼夫の顔を持つ同性愛者のステラ。ある日、ステラは女の死体を
抱えたヤクザ風の男、我妻に出会う。彼は自分と同じ様に寂しさにまみれた男であった。
過激で奇妙な情景描写の中で、繊細でせつない心理描写が光る。絶望の淵にある唯一の希望を目撃せよ。
監督|阿部綾織|高橋那月
共に東京造形大学造形学部美術学科に入学。油絵専攻であるが映画制作に興味を持ち意気投合。二人の処女長編作品『サンディの水槽』(08)を作っていく中で映画制作への意欲が高まり、
2007年には同居をしながら共同制作を本格化していく。10年には未発表作だった『白昼のイカロス』(09)が
第32回ぴあフィルムフェスティバルに入選し審査員特別賞を受賞、バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー賞にノミネートされる。
バーニングハーツ A
■監督|ジェームス・マクフェイ ■プロデューサー|花岡敏夫 ■出演|市山英貴|アンナ・シュバック|ジェス・マッコール|ローリー・スチュアート
もはや言葉はいらない!常識を超えた映像のカタルシス。
生きる甲斐をなくしたタクシードライバーのカズ。自信をなくし、孤独で弱りきっているモデルのエル。
ある日、尾行されていることに気付いたエルが、カズの運転するタクシーに逃げ込み・・・。
独創的な世界観と新世代のアクションで、あなたの「常識」を揺さぶる。右脳を、フル稼働して見よ。
監督|ジェームス・マクフェイ
オーストラリア出身。日本でモデル業をする傍らミュージックビデオ等の映像制作を精力的に手がける。自ら立ち上げたBeaufortの原動力であり、
Bag Raiders や Pomomofo 等のオーストラリア人アーティストのために草分け的予算ゼロのミュージックビデオを手がける。自身で脚本、監督、音楽制作、
俳優をこなし2009年には日本でモデルとして働く自らの経験を活かし、日本で働くモデルの孤独と葛藤を描いた Beaufort初の長編映画「Tiger」を発表した。
ぬくぬくの木 B
■監督|脚本|編集|美術|片岡翔 ■プロデューサー|和田有啓 ■出演|小野ゆり子|麿 赤兒|草村礼子|南 まりか|鈴木卓爾
「過ち」と「赦し」。2つの運命が交差する時、答えの出ない感情が心に迫る。
思い出のつまったぬいぐるみを木に結び、供養をする神社。巫女の「はりこ」はそんな小さな神社の
一人娘。ある日、若い女が赤ちゃんの入ったボストンバッグを置いて去っていく。
非情な運命が交錯する人間ドラマを、鮮やかな心理描写で紡いでゆく。
監督|片岡翔
1982年札幌市出身。ショートショートフィルムフェスティバルにて2009年から三年連続で観客賞を受賞し、本年は『SiRoKuMa』がSTOP!温暖化部門で3冠を獲得。
近作『くらげくん』は、第32回ぴあフィルムフェスティバルで準グランプリを受賞したほか、7つの映画祭のグランプリを含む13冠を達成。
その後、経済産業省の支援を受け、本作『ぬくぬくの木』と『Lieland』の二作品を制作。また、佐藤佐吉監督作品『Miss Boys!』の脚本を担当したほか、多数の長編脚本を手掛けながら、現在自身の長編作品を準備中。
路上 B
■監督|脚本|編集|山川公平 ■プロデューサー|田口稔 ■出演|平岡秀幸|カイ|ハナ|ヴィクトリア・ゾーリー|岩佐好益|谷口高史
迷子の子どもとホームレスの交流を通して描く、現代社会へのさりげない問題提起。
日本に観光にやってきたトミーは、ママとはぐれ迷子になる。やっとの思いで、ママに繋がった電話。
しかし目の前で手売りされている雑誌『ビッグ・ビルド』を目印だと伝えてしまい・・・。モノクロ映像と
異国の視点により、見慣れた日本に潜む貧困や希薄になった人と人の絆など、社会問題をあぶりだしてゆく。
監督|山川公平
1982新潟県生まれ。高校卒業後陸上自衛隊に入隊。その後、大阪芸術大学短期大学部経営デザイン学科修了後、映像学科へ編入する。
2008年に初監督作品『あんたの家』を製作し、第32回ぴあフィルムフェスティバルにてグランプリを受賞。第23回東京国際映画祭・ある視点部門、ロッテルダム国際映画祭2010フォーラム部門へ正式出品。
2010年『田村どの佐久間どの』(自主制作・水戸短編映像祭セレクション企画)を池袋シネマ・ロサにて上映。他、ミュージックビデオ、企業ビデオを制作。
わたしたちがうたうとき B
■監督|脚本|木村有理子 ■プロデューサー|田中深雪 ■出演|増田璃子|宇野愛海|利重剛|鈴木卓爾|川崎桜
笑い、傷つき、悩む。振り子のように揺れる少女の「心」。
外見も歌声も似たさやかと輝夏。放課後の音楽室で偶然に合唱することで気持ちを通じ合わせる。
ある日、さやかは、精神科医の父親の患者が持つ停滞感と社会性の無さに、強い印象を受ける。
しかしその患者は、実は輝夏の父親で・・・。思春期の少女が持つ痛々しくも瑞々しい関係を描いた作品。
監督|木村有理子
慶応義塾大学環境情報学部メディアアート専攻卒業。イメージフォーラム、映画美学校をへて、角川映画にて制作を担当。現在は映像制作をしながら「映画芸術」や「ユリイカ」などに映画評を寄稿。
主な作品に『10年の後、冬』(1997年 イメージフォーラム映像研究所特待生選出)、『犬を撃つ』(2000年カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門門正式出品)、
『daughters』(2008年渋谷ユーロスペース上映)、『なつめ』(2010年札幌国際短編映画祭招待作品)がある。少女たちを描いたドキュメンタリー作品がこの冬完成予定。
閑古鳥が泣いてたら B
■監督|脚本|編集|小林岳 ■プロデューサー|宮地慶 ■出演|栗橋勇|前田亜季|亀山スーザン久美子
顔も悪けりゃ頭も悪い、惨めな男の心意気。
とある喫茶店のマスター小林晃。経営不振により閉店するかもしれないと、小林はアルバイトの
中村有紀に伝える。すると中村は誰かと電話で話しこみ、途端に店を飛び出していく。
マヌケで滑稽な中年男の清々しさを、細かく、丁寧な人間描写でみせていく。
監督|小林岳
1986年生まれ、東京都出身。日本大学芸術学部放送学科に入学し、映画制作を始める。映像制作団体『三代川達』にてワタナベカズキ監督や、
頃安祐良監督ら先輩たちのお世話になる。卒業後は奥田庸介監督率いる『映画蛮族』に参加し、『青春墓場~明日と一緒に歩くのだ~』
などに撮影として携わる。卒業制作として自身で監督した『真っ赤な嘘』が第32回ぴあフィルムフェスティバルにて映画ファン賞を受賞。
ふたつのウーテル B
■監督|脚本|田崎恵美 ■プロデューサー|西野智也 ■出演|水口早香|澤田栄一
ぶつかり、つながる、姉弟の絆。2011年カンヌが選んだショートストーリー
母親を亡くした姉は、トラックで自分を捨てた父に会いにいく。父親を見捨てた弟は、あてもなく
家を飛び出す。偶然出会った異母姉弟の、二昼夜のドライブ。抑えた演出が、重なる二つの心を
鮮やかに描き出す。2011年カンヌ国際映画祭・短編コンペティション部門正式出品作品。
監督|田崎恵美
1987年大阪生まれ。お茶の水女子大学文教育学部の学生であるかたわら、2007年より早稲田大学映画研究会に所属し、自主制作映画の監督も務める。
監督第三作『アンナと二階の部屋』(09)で第3回TOHOシネマズ学生映画祭ショートフィルム部門グランプリ、及び第32回ぴあフィルムフェスティバルのエンタテインメント賞、同企画賞を受賞。
他の主な作品に『ハイランド』(09)(第22回東京学生映画祭グランプリ、第22回早稲田映画まつりグランプリ)などがある。

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■関連作品情報 mainasu

「-×-」(マイナス・カケル・マイナス)

■ 製作|監督|脚本|編集|伊月肇 ■ 制作|共同脚本|音響効果|松野泉 ■ 撮影|高木風太
■ 照明|浅川周 ■助監督|桝井孝則 ■ 出演|澤田俊輔|寿美菜子|長宗我部陽子|大島正華

『トビラを開くのは誰?』で『NO NAME FILMS』に参加している伊月肇監督の最新作『-×-』が、ユーロスペースに続けて登場。
短編でも垣間見えた巧みな構成、演出力が冴えわたる長編劇場デビュー作を是非ご覧ください。

すれちがう他人 つながらない世界 人の痛みなど ただ通り過ぎるだけなのか?

2003年、イラク戦争開戦までの3日間。大阪郊外を舞台に、タクシードライバーと女子中学生、それぞれの平穏な日常にさざ波が立ち始める。
動き始めた2つの物語が、偶然に繋がり、すれ違う様を静謐に描き出す、喪失と希望の物語。

詳しくはコチラ

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■UNIJAPAN 人材育成プロジェクト

若手映像クリエーターを対象とした映像制作プロジェクト

ユニジャパンは経済産業省より「平成22年度新進若手映像等人材発掘・国際ネットワーク構築事業」を受託し、人材育成プロジェクトを実施しています。
本プロジェクトはその一環であり、優れた才能を秘めている若手クリエーターを発掘育成し、発表の場を提供することで我が国コンテンツ産業規模のすそ野の拡大を図ることを目的としています。
映画制作を実践しているアマチュアを対象に、映像作品(15分以内のショートムービー)の企画を一般公募し、選考を経た後、企画開発から映像制作までを一貫して行うものです。
完成した作品は国内での上映会実施や海外映画祭でのスクリーニング、出展などを行い、広く周知することを目的としています。

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